周南市戦没者遺族大会④

のつづきです・・・


 背負った荷物をおろし、汚れた服を脱がせ、風呂を沸かして入れてやる。山積するほどの話。終戦になるまでの兵士の苦労が痛いほど身に沁みる。

 「弱気では、これからは生きられんぞ」と我に言い聞かせ、息子の体をまず養生してやらねばと思い、またしても一生懸命。

 息子も我が家での安堵の気分に浸りながらも、あまりにも弱った体は1、2年の内に快復するはずもない。私の手伝いができないのを気にしながら、毎日床にいるようになった。

 「今に元気になるよ。なるんだぞ」と励ますものの、充分な栄養を与えることもできず、次第に弱ってくる息子。

 そして10年、養生のかいもなく、私を残して他界してしまった。

 本当にひとりぼっち。なにも手にする根性もなくなり、淋しい毎日が続く。当時、54歳。

 そして、ふと我に返る。仏になったものへの供養のため、生涯この体が続く限り頑張ろう。

 戦争の終止を決断なされたのも、天皇陛下様のご心労のおかげと聞く。恐ろしい戦争はもうないだろう。目に涙の潤まない日はなかったけれど、せめてもの墓参りに気を鎮める。

 昭和43年。主人の身内の者、一家4人を後継者として入籍。53年から同居し、幸せな毎日を送る。

 これでよいのだろうか。もったいないことばかり。

 朝、目が覚めると思う。
 「今日も私のこの手が、足が不自由もなく動く。生かされている。」
 護っていただく喜び。ただただ感謝いっぱい。

 帰らぬ夫や子供たちに、世の移り変わりを語りかける墓参の楽しみ。ありがとう。


  平和な世の中であることを祈ります。


    昭和56年5月10日  90歳



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ふじいりつ子

Author:ふじいりつ子
山口県議会議員

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