沙羅の木 ①

沙羅の木 先日の読売新聞に、「沙羅の木」の記事が掲載されていました。 

 「沙羅の木」は経済的に困窮した母子、または、夫や恋人からの暴力(DV)を受けた女性とその子ども(18歳未満)を保護する母子生活支援施設です。就職や子育てなどへの助言や支援を受けながら、自立に向けて生活する児童福祉施設で、全国には約260施設あります。

 記事の内容は、「県内には同施設が少なく、希望者が殺到しているため入所希望者を受け入れられない状態が続いている。施設を必要とする母子は多いので、支援の充実を求めている」というものでした。

 この記事を読んで、「そんなに、施設を必要とする境遇の女性が多いのか…」と思いながらも、複雑な心境になりました。

 と言いますのも、実は、この施設を開設した岩城満さんは、私が主任児童委員になった平成7年からの友人ですが、残念ながら、2010年11月に胃がんのため64歳でお亡くなりになりました

 彼は、防府市の社会福祉法人「防府海北園」の理事長 、お寺の住職、ボーイスカウトの隊長など、いくつもの肩書きを持ち、いつも
子どもたちが幸せになれば、社会は明るくなる
と言いながら、精力的に青少年健全育成活動をしておられました。

 社会の子育て環境が悪化し、特にDV(家庭内暴力)などにより母子家庭は急速に増え(山口県の母子家庭数は07年が16,128世帯で、10年前と比べ3274世帯増加)、児童虐待のニュースも後を絶たない状況の中、岩城さんは
幼少期の生活が最も大切。早く母子を守る施設をつくらなくては・・・
と言われていました。

 自治体の財政難などから、最初は、前途多難な状況でしたが、老朽化した山口市の公営施設に代わる施設として、許可されました。

 補助を受けて建設工事を始めたのが2010年8月。3階建てで定員は20世帯。計画は順調に進んでいましたが、奔走していた9月に彼は胃がんであることが判明しました

 治療を続けたものの、11月に主治医から「余命1週間」と宣告され、残った力を振り絞って児童福祉への思いなどをテープに吹き込み、奥様に遺し、後のことを託されたそうです。


 そんな時、私にも長い電話をくれました。

「りっちゃん、長い間ありがとうね。主任児童委員の第1期生として、一緒によく話したよね。楽しかったよ。
僕はもっと生きたいんだ。でもね、どうも無理みたい。そこでお願いがあるんだ。
近いうちに、施設は出来上がると思うんだ。スタッフも優秀な人たちが揃った。
後は、利用者だ。女房には、頑張れと言ってあるけど、一人じゃ無理かもしれん。ぜひ、環境福祉委員長として力を貸していただきたい。オープンする時には、満室でスタートしたい。そうせんと、経営ができん。助けて欲しい」

というものでした。

どうやって励ましたらいいのだろう」と焦りながら言葉を探しました・・・。彼の少しかすれた声が今も耳の奥に残っています。

続く・・・
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ふじいりつ子

Author:ふじいりつ子
山口県議会議員

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